子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「私も知らなかったよ。自分がこんなに甘いもの好きなんて」

「家では食べさせてもらえなかったんだから、今頃知るのもしょうがないか」

 リビングに向かう保名さんの後に続き、背中を見つめて苦笑する。

 彼は私の実家の話を聞いても、もう疑わなかった。ある意味、娘に対してそんなひどい真似をするとは信じられない、と思っていたようだが。

 話を聞いて納得した部分が多かったようで、自分で見てきた私の姿と、弥子たちから教えられた私がなぜ噛み合わなかったのか理解できたそうだ。

 もしその時の違和感をもっと突き詰めておけば、と彼は話を聞き終えた後にもう一度私へ頭を下げた。

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