子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「だったら、次はカードで買い物をする練習だな。まさか二十五にもなってカードの使い方がまともにわからないとは思わなかったが」

「その話はもうしないでって言ったでしょ」

 むっとして言い返すも、私も保名さんも笑っている。

 彼はちょっとだけ口が悪い。自覚はあるらしく、私を誤解していた頃は必要以上にきつくなったと謝罪された。

 一時期、気を付けようとしていたそうだけれど、今はすっかり素で話している。

 私に敬語をやめさせておきながら、自分は口調を取り繕うのはなんだかおかしな気がする、という理由からくるものだ。

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