子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 だけど完全には解かず、私の手のひらに自分の手のひらを重ね、指を絡める。

「ちゃんと償うまで、手は出さずにいようと思ったんだ。好きにする資格なんか、俺にないと思ったから。でもな、おまえがそういう態度ばっかり取ると、俺だってきついんだぞ」

 そういう態度と言われてもどういう態度なのか、私にはいまいちわからない。

 気安く栗餅を食べさせようとしたことなら、反省しようと思う。でも保名さんの言い方からすると、これまでにも何回かやらかしているようだ。

 保名さんがふうっと大きく息を吐く。自分の中にあるなんらかの衝動を必死に抑え込もうとしているように見えた。

「悪い。頭を冷やしてくる」

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