子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
夢の終わり

 長い誤解が解け、やっと夫婦らしい生活が当たり前の日々になり始めた。

 今日も保名さんが仕事へ行っている間、せっせと家事に勤しむ。

 今では彼の部屋への入室も許されており、そこの掃除も頼まれるようになっていた。

「本当は他人を自分の部屋に入れるのは好きじゃないんだよな。でも、こういうところから始めないと、本当の夫婦になれないだろ」

 離婚を口にしていた彼が夫婦生活を続けたいと思って、そのために譲歩してくれたのだ。

 私も彼にふさわしい妻になりたくて、家事以外にもできることを考え中である。

「和菓子が好きみたいだし、新作の味見係にでもなるか?」

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