子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 怪我をして絆創膏を貼ってもらったのは初めてだった。

 どうしてなのか理解できずに、青い恐竜の絵が描かれた絆創膏に覆われた指を見る。

「家に帰ったら、ちゃんと洗って消毒しろよ。指が腐っても知らないからな」

 彼はそう言うと、私の手を両手でそっと握った。

「痛いの痛いの、飛んでけ」

「……なに、それ?」

「おまじない。やったことないのか?」

 頷くと少しだけ彼の顔に笑みが浮かぶ。

 呆れたような顔だったけれど、初めて見る笑みはなぜだか私の胸を騒がせた。

「こうやると痛いのがなくなるんだよ。だから、これ以上おまえが痛くならないようにやってる」

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