子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 俺が作業している間、琴葉はぴょこぴょこと忙しなく動いて手もとを覗き込んだり、台所をうろうろ歩き回ったりした。

 本当に子どものようだ。

 だが、こんなふうに彼女が自分の思うまま、好きに動き回れるようになったことをうれしく思う自分がいる。

 ずっと抑え込まれてきた琴葉は、放っておけば部屋の隅で一日中正座しているような人だった。

 趣味らしきものもなく、積極的にやろうと思うのは掃除くらい。そんな彼女が、最近になってようやく自分の思うまま行動できるようになった。

 誰かの奴隷ではなくひとりの人間なのだから、したいことがあるのならしてほしいし、俺に望んでほしい。

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