子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
意地悪、と文句を言う声まで、今の俺にはなによりも甘く聞こえた。
***
それから数日後、琴葉は念願叶って例の菓子と向き合っていた。
「宝石みたい」
透明な器に盛った菓子は、大小さまざまな形をしている。
うっすらと表面が白く霞がかって、宝石というよりは、海に落ちているシーグラスのようだった。
「干琥珀だ。琥珀糖とも言う。立派な和菓子の一種だな」
「なんだか食べ物じゃないみたいだね。飾っておきたいくらいきれいだもの」
「飾ったら腐るぞ」
「それはやだなぁ」
琴葉が長い指で黄色い干琥珀をつまんだ。
「いただきます」
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それから数日後、琴葉は念願叶って例の菓子と向き合っていた。
「宝石みたい」
透明な器に盛った菓子は、大小さまざまな形をしている。
うっすらと表面が白く霞がかって、宝石というよりは、海に落ちているシーグラスのようだった。
「干琥珀だ。琥珀糖とも言う。立派な和菓子の一種だな」
「なんだか食べ物じゃないみたいだね。飾っておきたいくらいきれいだもの」
「飾ったら腐るぞ」
「それはやだなぁ」
琴葉が長い指で黄色い干琥珀をつまんだ。
「いただきます」