子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
番外編:水ようかん1


「どれが一番うまいと思う?」

 保名さんがそう言ってテーブルに十枚の皿を並べる。

 それぞれの上に乗っているのはどれも水ようかんだ。

「おまえから見て右から、小豆、こしあん、白小豆、抹茶、ゆず、黒糖、栗、さつまいも、いちご、しょうがだ」

「しょうがの水ようかん……?」

「試作品の中で意外と評価が高くてな。案外、物珍しさから売れるんじゃないかって話が出てる」

 どうしてこんなことになったかと言うと、保名さんの仕事が関係している。

 彼は和菓子屋の後継ぎだが、和菓子職人ではない。

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