子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 保名さんはときどきかわいい。どういう時にそういう表情を見せてくれるのか、まだわかっていないけれど。

「ほら、次」

「あ、うん。次は白小豆だね」

 これは普段、久黒庵にない味だ。

 名前の通り白い小豆を使ったもので、つまるところ白あんの水ようかんである。

 口に入れた時の食感はこしあんと同じだが、もっとあっさりしていた。甘いものが苦手な人でも、ぺろりと食べられてしまいそうだ。

 それでいてしっかりと小豆らしい風味を感じ、いい和菓子を食べたのだという満足感に浸らせてくれる。

「白あんって、なんで上品な感じがするんだろう?」

「さあ? あんまり考えたことないな」

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