子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
番外編:水ようかん2
どうしてそういうことをするの、まだ食べている途中なのに。
その思いを込めて軽く睨むと、保名さんは肩をすくめて私の唇から指を引き抜いた。
口に指を入れられるなんて落ち着かなかったはずなのに、彼のぬくもりがなくなると、それはそれでなんだか物足りない気がしてしまう。
「まだ味見は残ってるからな?」
「保名さんが邪魔したんだよ」
和菓子よりもずっと甘い邪魔なら、いくらでもしてほしい。
そんな思いを隠して、残った水ようかんを食べる。
ゆずはすっと鼻に抜ける柑橘類特有の清涼感が気持ちいい。香りづけのためなのか、細かく刻んだ皮が入っていた。