子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 こんなことを言っていいかと思いながら保名さんに伝えると、彼は『貴重な意見だ』と私の言葉を否定せず、メモに取ってくれた。

 次はいちごだ。

 かわいらしいピンクの色が目に楽しく、特に小さな子どもに喜ばれそうだと思った。

 洋菓子ではなく和菓子なのだ、と思わせてくれるのは、単純にいちごの果汁を使っているわけではなく、あんにいちごの風味を移し、いちごあんにした上で水ようかんにしているからだろうか。

 甘酸っぱさはおいしいけれど、個人的にはいちごのあの粒の食感が欲しくなる。

 私がそう伝えると、保名さんは笑った。

「おまえ、ずっと食感について言ってるもんな」

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