子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 こうして肌を重ねるたび、どれだけ理性を揺さぶられているのか知りもしないのだ。

「それ……やっ……」

「嘘吐くな」

「あ……」

 か細い声が不自然に途切れ、息を呑んだ気配が伝わる。

 追い詰められて涙を目に浮かべた琴葉は、なにをしている時よりも俺を昂らせる。

 うつむくのが癖になっているはずの彼女は、ベッドの上だと俺をまっすぐ見つめた。

 乞うように、それでいて誘うように。

 今にも泣きそうながら、期待した眼差しにはいつも心が激しく揺れ動く。

 常人の何倍もつらい思いをしてきたからこそ、これからの彼女には穏やかな甘い幸せだけを味わってほしい。

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