子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 そう思うのに、この瞬間だけ、俺は彼女をめちゃくちゃにしてしまいたい衝動に駆られるのだ。

「琴葉。……いい?」

 俺は満足させられているか、という意味で尋ねると、琴葉は照れたように頬を緩めた。

「……うん。好き」

 散々声をあげたからか、その囁きは少しかすれて聞こえた。

「俺も」

 このかわいい人をこんなにも乱せるのは、俺だけだ。

 それがたまらなくて、また息ができないほど深いキスを求めてしまう。

 唇の隙間から琴葉の小さな声が漏れて、また俺の熱を高めていく。

 手を繋ぎながら、もう片方の手で彼女の柔らかな肌を撫でた。

 首筋にいくつも赤い痕が残っているのは俺のせい。

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