子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む

 明日も仕事だというのに、彼女を求める気持ちは、時間を重ねるごとに弱まるどころか強くなっている。

 残った理性を振り絞って離れようとするたびに、とろけた声で名前を呼ばれれば、誰だってもう少しぐらいこの幸せに浸っていたいと思うだろう。

 彼女のペースを乱すのは仕返しだ。

 基本的にはおっとりと笑みを浮かべた彼女が、焦りと困惑と、抗えない快楽で泣きそうな顔をするところをいつまでも見ていたい――。

「やす、な……保名ぁ……」

 震える声が細く高く変化していく。

 いい加減、琴葉には気付いてもらいたいものだ。吹っ切れたように呼び捨てされた俺が、どれだけ喜んでいるのかを――。



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