子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 薄い毛布に身をくるみ、ベッドの端に座った琴葉の隣に腰を下ろす。

 そして冷蔵庫から持ってきた石衣――松露とも呼ばれる和菓子だ――を、彼女の口に放り込んだ。

「……ん。甘い」

「そうだろうな。こしあんに砂糖をまぶしたものなんだから」

 正確に言うなら、水あめを加えて練ったこしあんにすり蜜をかけたものだ。

 シャリシャリとした食感と、とろけるあんの上品な甘さがおいしい。

 表情を見る限り、甘いもの好きな琴葉はこの菓子を気に入ったようだった。

「急にどうしたの?」

「疲れただろうから、糖分補給」

「……保名さんのせいだよ」

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