子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
「今までもこんなふうに妹の相手を奪ってきたらしいな。気に入ったものは自分のものじゃないと気が済まない性格だと、弥子さんに聞いた」
保名さんの視線を受けていられずにうつむく。
「姉を止められなくて申し訳ないと泣きながら謝られたよ。彼女が謝る話じゃないのにな」
真実を伝えられない以上、黙って怒りを受け止めるしかない。
いつも家でそうしていたように、私が我慢すればいい話だ。
はあ、と保名さんの溜息が聞こえた。
広いリビングの壁際にあるソファへ腰を下ろすと、彼は額を押さえて考え込む。
私は立ち尽くしたまま、どう彼と向き合えばいいのかを悩んでいた。