子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 思わず自分の身体を抱き締めていた。夜の営みについて知識はあるが、これまで恋愛経験のなかった私には当然そちらの経験もない。

 愛する人に求めてもらうのは、きっと幸せだろう。

 だけど、愛している人が自分に対して嫌悪と怒りを感じているとしたら話は別だ。

 純粋に恐ろしく感じて、もしかしたら数日は猶予をもらえるのではないかと期待した。

「今夜から……しなければいけないんです、よね」

「まさか。すぐにおまえを抱くつもりはない」

 保名さんは立ち上がるとまっすぐ私の側へ近付いた。

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