子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む

　三十センチほど身長差がありそうだ。こうして見下ろされるとかなり威圧感を覚える。私が百五十八センチだから、かれは百九十近くあるのではないだろうか。

　また少しだけ怖くなって、自分の腕を掴んだ手のひらに力を込める。

「普段からよく男と遊んでいると聞いた。何度か男関係でトラブルを起こしたこともあるんだろ？　その度に弥子さんやご両親に迷惑をかけたそうだな」

「……誤解です。今まで男の人と付き合った経験もなくて」

「おまえの言葉を信じるなら、宝来家の人間全員が嘘を吐いていることになるな」

　鼻で笑われて視線を下に向ける。そうすると、彼の強い眼差しを受けずに済んでほっとした。