子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 と、不意に保名さんが私のお腹に手のひらを押し当てる。

 驚いて咄嗟にまた、彼を見上げてしまった。

「ここに他の男の子どもがいないと証明できるまでは、頼まれても抱かないからな。問題ないと判断したあとは、当初の予定通り、妻としての役割を求める。だから独身時代の品のない遊びは控えろ。いいな」

「……はい、わかりました」

 それ以外、私になにが言えたというのだろう。

 家族の三人が彼に伝えた嘘を、私ひとりが誤解だと言ったところで信じてもらえるはずがない。

「子どもができたら離婚する。俺に必要なのは後継ぎだけで、素行不良の妻はいらない」

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