子作り政略婚のはずが、冷徹御曹司は蕩ける愛欲を注ぎ込む
 私が我慢すればいい。彼に憎まれ、疎まれて胸が痛いけれど、きっとこれは罰なのだ。

 妹の結婚を喜べず、目の前に差し出された甘い言葉に惹かれて、自分の幸せを願った私への、罰。

 保名さんは必要なことを言い終えたのか、私に背を向けて廊下へと向かった。

 ドアが閉まる音と、ややあってから聞こえたシャワーの音に、浴室で汗を流しているのだと知る。

 初恋の人と結婚できても、彼には誤解され、嫌われている。

 気付けば笑っていた。それしかできなかったと言う方が正しいかもしれない。

 家族として認められない日々に比べたら、好きな人の側で生きられる毎日のなんと幸せで喜ばしいことか。

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