私だけを愛してくれますか?
「なぁーご」
さっきは不貞腐れて部屋から出ていったドンちゃんが、ダイニングテーブルに座っている父の膝の上に乗った。
甘えた声を出しているのは、父の朝食を狙っているから。ドンちゃんは納豆が大好きなのだ。
普段から常食するほど我が家は納豆好きではないが、父の健康のために時々出される。
そうすると、匂いを嗅ぎ分けて、ドンちゃんは必ずおねだりしに来るのだ。
「ドンはまた太ったんちゃうか?」
膝からはみ出そうなドンちゃんに、父は問いかける。
放っといてくれと言わんばかりに、「ぶみ」とドンちゃんは短く鳴いた。