私だけを愛してくれますか?

「---大学の吉木美織です」

凛とした声、知性を感じさせるまなざし。何よりも、人を惹きつけるオーラのようなものある。

多くの就活生を見てきたので、『この子は通りそう』『この子はちょっと無理かな』というのは第一印象でだいたいわかる。

くらき百貨店入社試験の最終面接。受付に立つ俺の前に現れたのは、『この子は絶対に通る』そう感じた女子学生だった。

受付をした後、面接会場へと案内をする。

「面接がんばって。入社式で会えるのを楽しみにしています」

これは、どの学生にもかける言葉。

急にそんな言葉を投げかけられると、緊張してしどろもどろに返事をする子も多い。彼女も少し驚いたように目を丸くしたが、すぐにフワッと微笑んだ。

「ありがとうございます。がんばります」

柔らかい笑顔。まるで、淡いピンクのバラがほころび咲くような…

『真面目そうな美人』
第一印象はそんな感じだったが、笑うとずいぶん印象が変わるんだなと、また強く印象に残った。

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