私だけを愛してくれますか?
*◇*◇*
ゆっくりと目を開ける。
見慣れた自分の部屋と布団、着慣れたパジャマ。何もおかしなところはないけれど…
ボーっとしながら、のそりと起き上がった。
しばらく座っていたら、違和感を感じていたものが次第にはっきりとしてきた。
あれ? 私、昨日どうやって帰ってきた?
『蓮華』に行って副社長に会った。
閉店してからも、蓮と華も交えてみんなで食事を続けたのは覚えている。
でも、そこから先が全く思い出せない。
枕元に置いてあるスマホがメッセージの着信を告げているので確認したら、蓮だった。
『無事帰れたか?美織が久しぶりに楽しそうで、俺も華も嬉しかった。優吾のことは任せとけ。会う段取りがついたら、また連絡する。前向きな気持ちになれてよかった!』
優吾のことは任せとけって…。優吾に会いたいって蓮に話した?
その話をするつもりで『蓮華』に行ったけど、また今度にするつもりだった。
まさか、副社長の前で話してないよね?
怖ろしい考えに身震いする。
手がかりを求めて、リビングに向かった。