私だけを愛してくれますか?
部屋のカーテンを開けると、四月特有の柔らかい陽射しが差し込んできた。窓を開けて深く息をする。春は空気自体が華やいでいる気がするから不思議だ。
ドンちゃんの〝お陰〟で普段より三十分も早く起きた。
まぁ、ゆとりがあっていいということにするか。
パジャマのまま階下のリビングに降りると、
「あら、今日は早いやないの」
朝食の支度をしながら母が声をかけてきた。
「ドンちゃんが上に乗ってて、苦しくて目が覚めた」
冷蔵庫から酵素ドリンクを取り出しながら返答する。
歳と共に体の線が緩んできている気がするので、健康や美容によいといわれる物は積極的に取るようにしている。
コップに注いだ酵素をグイッと飲み干して、朝食は終了。一分もかからない。あっけないなぁ…
ダイエットにすごく興味があるわけではないので、この一本を飲み切ったら、酵素はおしまいにすると決めている。
目新しい流行りの物に挑戦するのは楽しいが、朝食はパンを食べる習慣が根付いているので、この酵素ドリンクだけの朝食はキツかった。
でも、体重は落ちて体型も少しスッキリした気がする。試してよかったかも。
健康に関する商品のイベントは集客が見込めそう。食品だけじゃなくて、自宅で出来る運動器具も一緒に出したりして…
いつの間にか、仕事の事を考えていてハッとする。
私の頭の中は、常に八割以上を仕事が占めている。これが社畜というやつか。