私だけを愛してくれますか?
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優吾と会う日が来た。
今日は七月六日で、私の二十代最後の日だ。よりによって、そんな日に設定しなくても、と抗議したが、蓮いわく「新しく三十歳から始めよう!」ということらしい。何のキャッチフレーズなんだか…
明日が誕生日ということは、そう、私は七夕生まれなのだ。実は『美織』という名前はそこからもきている。姫様にあやかって。
蓮の言う通り、嫌なことは全て今日でおしまいにして、彦星探しに励もうかな。
いろいろなことに前向きな気持ちを取り戻しつつある私は、最近絶好調だ。
私の企画した『クロワッサン食べ比べフェア』は、みんなの力を借りて無事開催が決定した。
瑠花ちゃんはデータ集めが得意なので、お店のリストアップを私以上に頑張ってくれ、そのデータを基に、パソコンが得意な京極君がプレゼンの資料を作成してくれた。
仲がよろしくない若手の二人だったが、最近はうまくかみ合うようになってきて、協力し合って作ってくれた資料はとてもいいものができた。
部内の承認を受け、上層部にプレゼンをする時には、サブの小森君が発表を担ってくれた。小森君は大勢の前で話すのがとてもうまいのだ。
私は小森君の横で追加説明をする役目だったのだが、緊張しながら前に立った時、副社長がかすかにニヤリとしたのが見えた。『やっぱり、パンで来たな』という声が聞こえそうで、少し恥ずかしかった。
プレゼン後の質疑応答では、相変わらず、鋭く突っ込まれてハラハラしたけれど、みんなで作りこんだ企画だったので、不備なところは何もなく、無事承認をうけることができた。
「みんなのお陰で、企画を通すことができた。本当にありがとう。いいイベントになるようにがんばりましょう!」
素直に感謝の気持ちを伝える。ちゃんと笑顔を添えて。
最近、班のメンバーの前では感情を出すように心がけているが、そんな私をみんなが温かい目で見るのが恥ずかしい。「よくできました」と言われているようなのだ。
そんな子どもの成長を見守るような目で見られても。いちおう私、チーフなんですけど。
つい照れてしまうが、班の雰囲気は以前よりずっとよくなった。みんなが見守ってくれているのだから、頑張っていこう。