私だけを愛してくれますか?
白いのれんを前に、気持ちを落ち着かせる。ヨシっと頬を叩いてから、扉を開けた。
「いらっしゃいませ」
今日も安定の野太い声に安心する。
「おぅ、来たな。優吾はもう来てるぞ」
大きくてかわいい顔をニカっと綻ばせて、蓮が出迎えてくれた。
「奥の部屋や」
たった一つしかない個室を押さえてくれたようだ。カウンターで横並びの方が、緊張しないからよかったような気がするけど。
調理場からは、華がこちらを見ている。『頑張れ』というように、力強く頷いてくれた。私も微笑んで頷きかえした。
「美織が着いたぞ」
そう声をかけて、蓮はふすまを開けた。