私だけを愛してくれますか?

その後、現況報告や世間話をぽつぽつとする。優吾もまだ独身で、実家の旅館の仕事が忙しいらしい。

「美織は昔も可愛かったけど、大人になって綺麗になったな」

恥ずかしそうにそんなことを言うから、こっちが照れた。

「お世辞はいいよ」

優吾は優しく目を細めて、赤くなった私の顔をじっと見た。

「なあ、美織。美織がよければもう一度…」

優吾が言いかけた時に、ふすまの陰から人が現れた。

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