元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「そ、そんな…エレノア」
すがるような視線を私に向けるリアムに鳥肌が立つ。
私は小さくため息をつくと、
「リアム様、私と話をする前にまず先に話をしなくてはいけない相手がいるんじゃありませんか?」
と、言って彼の後ろに視線を向けた。
リアムは、私の視線をたどるように振り返る。
そこには、
泣きはらし、小さく下を向くシャーロットの姿があった。
「リアム様、彼女とはもっと話し合う必要がありますでしょう?……私はこれで失礼させて頂きますので、ごゆっくり」
最後に優雅にお辞儀をすると私はシャーロットが佇む扉に向かってゆっくり歩き出す。
すれ違いざま、
「お姉様…わたくし…」
シャーロットは震える声で話しかけてきた。
しかし、そんな彼女に一瞥もくれず、スッと真横を通り過ぎる私。
シャーロット…貴女も自分がしたことの重大さをしっかりわからないと…。
正直、生まれた時から一緒にいる可愛い妹のようなシャーロットを無視することに少しだけ良心が痛む。
けれど、彼女からされた仕打ちを考えると同情する気にはなれなかった。