元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「お姉様!シャーロットです。私、話がしたくて…」
必死に訴えかけてくるシャーロット。
一体、何の話があるというのか。
彼女と私が最後に会ったのは、私の誕生日会。つまり、婚約破棄後私はシャーロットとは1度も顔を合わせてはいなかった。
もちろん、周りも配慮してシャーロットと接触しないように気遣ってくれていたのだが。
「ちょっと、シャーロット様。招待していないパーティーに押し掛けるなんて…失礼ですわ。申し訳ありませんけど今日のところはお引取りを」
ガーネットが私のことを気遣ってそう言ってくれたのが嬉しかった。
しかし、
「ちょっと…やめて。私はエレノアお姉様に用があるの!私に触らないで」
ブラウン家の侍女達の手を払い除け、叫び続けるシャーロット。
昔から甘やかされて育った彼女は、一度駄々をこねると周りが折れるまで引かないのだ。
そんなシャーロットの性格を知っている私。
これ以上、迷惑をかけるわけにはいかないと、
「ガーネット様ありがとう……シャーロット。私に何か用事かしら?」
隣を通る際、ガーネットにだけ聞こえるようにお礼を述べ、自らシャーロットの方へ進み出たのだった。