元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「…そんな…お姉様、私はただ、」
バッと勢いよく顔を上げたシャーロットは、涙を浮かべ懇願する様な視線を送ってくる。
正直、そんな彼女に少し胸は痛むがシャーロットのためと心を鬼にして私は続けた。
「正直、今はあなたと話すのも私にとって苦痛なの。あなたが仕出かしたことはそれだけ重大なことなの……もちろん、あなただけが悪いとは思っていない。幼いあなたを唆したリアム様の責任は大きいわ」
「……」
彼女には彼女が果たす責任があると思う。
黙り込んでしまった彼女を横目に私はスッと立ち上がった。
「…よく考えて、自分の行動を見つめ直してちょうだい」
最後にそれだけ告げ、私は、一人で庭園を後にする。
そのままティーパーティーに戻るのも気が引けたので、ガーネットの従者に声をかけ、私は自分の馬車に乗り込んだ。
…ちょっと厳しすぎたかしら。
馬車に、揺られながら帰路に着く間、ベンチに佇むシャーロットの姿を思い出し、小さくため息をこぼす。
最初、シャーロットの姿を見たときは本当に苦痛だった。
あの夜のことはきっと一生忘れられないだろう。
けど、
彼女と思った以上に冷静に話せた自分に正直驚いていた。