元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
ノエルが部屋を後にしてから数分後、ルーナを含めた数人の侍女が広間に入ってきた。
ノエルの分のお皿を引きに来たのだろう。
「…ルーナ、私の分も一緒に片付けお願いね」
私も食事もほとんど済んでいたので、ついでに下げてもらおうとルーナに声をかける。
「かしこまりました。お嬢様、お部屋に戻られるのでしたら、アリスをお連れ下さい。アリス、お嬢様のお世話を」
「か、かしこまりました。お嬢様、こちらに」
ルーナの指名に緊張した面持ちで私をエスコートするのは侍女のアリス・メイソン。
歳は私より2歳下で、最近私付きの侍女になったばかりの新人だ。
「アリス、ありがとう。よろしくね」
「は、はい!」
私が声をかけると、嬉しそうに表情を明るくするアリスに私も思わず笑みが溢れる。