元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
少し下を向き、頬を染めて照れる彼女。
「そうなの?アリスくらい可愛ければ殿方も放っておかないでしょうに」
「い、いえいえ。全然そんなことないです。私、引っ込み思案で…家族以外の男性と話したこともあまりなくて。唯一話せるのも幼馴染みのトムくらいで」
ブンブンと、首を勢いよく横に振るアリスは、そう言うと肩を落とした。
「トムにもよく言われるんですよ、ちょっと男から声かけられたくらいで勘違いしないほうがいい。男はちょっと若ければちょっかい出したがる、本気じゃないからって」
ふーん。なるほどね。
どうやら、アリスの幼馴染みのトムという子は彼女を取られたくなくて、わざと意地悪言うのだと、鈍感な私でもピンときた。
「…アリスはその彼のことどう思ってるの?」