元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「ル、ルーナ…私だって好きでこんなところにいるんじゃないのよ?今外になんて出てご覧なさい。あっという間に噂になるわ。そしたらゆっくりお散歩もできないし、ショッピングだってできやしないもの。こういうのはもう少しほとぼりが冷めるまで待つのがいいかなぁって」
本当は外出するのが面倒なだけなのだが、最もらしい言い訳を並べ、力説する私。
しかし、
「大丈夫です。エレノア様だとわからなければいいんでしょう?私がきちんとご準備致しますので」
ルーナは一歩も引かず、そう言い放った。
「いや、でもね…」
なんとか外出を阻止しようと、他の言い訳を言おうとするも
「まだ何か?」
彼女の一言でバサッと、切り捨てられる始末。
「…なんでもないです」
とうとう根負けした私は項垂れながらもそう呟いた。
「さ、そうと決まったらご準備を致します。こちらにどうぞ、エレノアお嬢様」
ルーナは、ニコニコと、楽しそうに微笑みながらクローゼットから外出用のドレスやアクセサリーを取り出し、テキパキと私の着替えを手伝い始めた。