元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
落ち着いた口調で話すノエルの声を聞くと、さっきまでの怒りが嘘のように落ち着くのを感じた。
…でも、本当にルーナの言うとおりだわ。
ノエルが来てくれなかったら今頃…。
あの時は、一発くらいと覚悟を決めて目を閉じたが、今思い出すと少し怖くなる。
それにしても…
「…ノエル、私からもお礼を言わせて。ありがとう、本当に助かったわ……、だけど、どうして急にここに?まさかリアム様がここに来ることを事前に知ってたわけじゃないわよね??」
今日は、別にノエルと会う約束をしていたわけでなかったし、何故こうもタイミングよく駆けつけられたのか気になっていた私は、首をかしげて問いかける。
「…あぁ。それは君の優秀な使用人たちのおかげ。兄さんがやって来たのを急いで僕に知らせに来てくれたんだよ」
「そう…だったの…皆が…」
私を心配して、ノエルを呼びに行ってくれたのね。