元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
なるべく優しく語りかけ、アリスが座りやすいように促す。
「…は、はい。失礼致します…」
小さく会釈をし、アリスはちょこんと私の座る席の前に腰を掛けてくれた。
しかし、落ち着かないのか、メイド服のエプロンをギュッと握りしめている。
「…アリス、話したくないことは話さなくてもいいわ。答えられる質問だけ答えてくれるかしら?」
「…はい、お嬢様」
「リアム様に手紙を隠すように言われたのはいつからなの?」
「…半年前くらいです。その時、私はまだお嬢様付きじゃなくて見習いとして雑務をしており、手紙などの仕分けもしていて…」
「その時にリアム様に声をかけられたのね?」
「…はい、私がお嬢様宛の手紙をお部屋に持っていく時に…」