元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
アリスの表情からは、どんな罰でも受け入れる覚悟ですと、そう言った感情が見て取れた。
「そうね、アリス…あなたは私の専属侍女は解雇させてもらうわ、もう一度雑用係から出直していらっしゃいな」
プルプルと、震えていたアリスは私の言葉に一瞬固まり、
「…え、お嬢様…私、クビではないのですか…」
モゴモゴと、口籠りながら、今度は別の意味で泣きそうな表情で私を真っ直ぐに見つめてくる。
「…あなたのやり方は間違っていたけれど、私の幸せを思ってやってくれていたのでしょう?それに、私、アリスのこと気に入ってるのよ、また、1からにはなるけれど、頑張ってまた私の専属侍女になってもらいたいなって思うわ、どうかしら、また私のために働いてくれる?」
少しいたずらっぽく聞き返すと、アリスの涙腺は我慢できなかったようだ。
「…っ、はい!もちろんです…お嬢様のために一生懸命努めます…っひく、ありがとうございます…エレノアお嬢様…」
そう言いつつも、溢れる涙が止まらないのかしきりに目を擦っている。
「そんなに擦ると腫れてしまうわ、さ、もうここは大丈夫だからルーナたちの所に戻りなさい。明日から雑用係なんだから忙しくてよ?」
「はい!失礼します…っ」
深々と部屋を出る際に頭を下げたアリスを私は、楽しげに見送ったのだった。