元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「…心配した」
「え…」
ポツリと、耳元で囁くノエルの声は、消え入りそうなほど小さくて。
私の身体を抱きしめる腕は、温かかった。
…そんなに心配してくれていたのね、申し訳ないことをしたわ。
「…ノエル、あの…本当に心配かけたのね。ごめんなさい…でも、大丈夫だったから、落ち着いて、ね?」
ポンポンと、ノエルの背中を優しく擦り、私は大丈夫だということを伝えようとする。
「…ったく、心配で1人にしておけないな」
「だ、大丈夫よ。小さい子どもじゃないのだから」
「いや、エレノアは、本当に昔から猪突猛進というか、喧嘩っ早いというか…まぁ、アカデミーに入ってからは多少落ち着いたかと思えば…」
…なんか、言いたい放題ね