元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
ジッと、私の目を見て、問いかけるノエル。
その視線にたえられず、私は先にふいっと視線を反らした。
「い、嫌とかでは…なかったけど…」
「…けど?」
「私達は本当の婚約者じゃないのよ。後々、貴方の婚約者になる方に失礼になるから…よくないと思うの」
しどろもどろになりながらも、私は蚊の鳴くような声でそう答える。
「……」
「……」
お互いしばらくの沈黙の後、
「…そう。相変わらず真面目だねエレノアは…。わかったよ。今回は僕が悪かった」
若干、苦笑しながらも、ノエルが先に非を認め謝罪をしてくれた。
わかってくれたのね、よかった…。
と、私もホッと胸を撫で下ろす。