元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
反対されるかと思ったけれど、むしろ協力的でよかったと、ホッと胸をなでおろす。
…それにしても、ノエルは来週ノア(私)に何を話す気かしら。
なんだか、エレノアとしては少々複雑な気持ちだった。
だって、街でたった1回、世間話をしただけの女の子を誘うだなんて…。
よほど、ノアのことが気に入ったの?ノエルってノアみたいな感じの雰囲気がタイプなの…?
だなんて、考えなくても良いことにまで思考が囚われてしまう。
だから、私は決めた。
来週でノアとして彼に会うのは最後にしよう。
あの姿で、私が知っている身近な話題を聞くのも良くないと思うもの。
と。
とりあえず、ノアは遠くの国に留学にでも行くことにすればいいわ。
最初は正体をきちんと伝えたほうがいいかと迷ったけれど、今更どんな顔して打ち明ければいいかわからないしね。
そんなことを考えながら、私は、目の前のチョレートケーキに手を付けたのだった。