元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
ルーナは小さく会釈をすると、来たときとは打って変わって、落ち着いた様子で部屋を出ていった。
少しくしゃくしゃにになった新聞をもう一度見返し、私は、小さくため息をつく。
新聞がくしゃくしゃになってるのは、多分ルーナの仕業だろう。相当怒ってたものね。
お父様といい、ルーナといい存分私に甘いのだ。
「シャーロットと…ノエルが…まさか、ね」
ノエルに限って、と頭の中でわかっている。
シャーロットにしたっておそらく誰かにいいように利用されているだけなのだろうと理解はしていても言いようのない不安が胸をくすぶる。
「こういう時こそ、私がしっかりしなくては…」
まずは、アメリア男爵令嬢のパーティーできちんと公言するのだ。
あの記事はでたらめだと言うことを。
「ノエルも…新聞読んだかな?」
ノエルのことだ、こんな記事を見つけたらすぐに私に弁解に来るはずだ。