元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
それははじめて見る従姉妹の表情だった。
彼女の瞳には怒り…いや、憎悪の感情が見て取れる。
そんな感情は、シャーロットとは無縁だと…そう思ってたのに。
思わずゾクッと、背筋が凍った。
「ねぇ…お姉様、私のこと本当の妹のように思ってくれてるでしょう?私もそう、昔からエレノアお姉様のこと本当のお姉様だと思って慕ってきた、私にとってはお姉様が一番だったの」
ソッと、肩においた私の手を握り、シャーロットはジッと私を見つめる。
「…でも、お姉様にとっては私が一番じゃなかったのよね」
「シャーロ…っ!!」
明らかに様子がおかしい。
咄嗟に、彼女の名前を呼ぼうとした時。
後ろから誰かに羽交い締めにされ、何か布のようなもので鼻や口を塞がれた。
誰…!?それに、この匂い…は。
何か薬品をかがされたのかクラっと目眩がして思わず地面に倒れ込む。
だめ、意識が…誰か…。
だんだんと、遠ざかる意識の中で、シャーロットが小さく微笑んだように見えた。