元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
テラス席は、どことなく品がある内装で座っている客達も優雅にティータイムを楽しんでいる。
ふーん…あの壁の装飾なんかも凝ってるのね。
もしかしたら私みたいにお忍びで来ている貴族達も中にはいるのかもしれない。
わりと、混んでいるためどこか空いていないかとキョロキョロ辺りを見渡した。
その時。
「失礼、レディ。お席をお探しならあちらの奥が空いていますよ」
恭しくお辞儀をし、親切にも教えてくれたのは30代後半くらいの紳士だ。
綺麗めな服装からそれなりに良い家柄、もしくはお金持ちなのが伝わってくる。
「ご親切にありがとうございます」
紳士に一言お礼を言うと、私は教えられた席を探した。
あら、あそこかしら。
確かに少し奥に進むと、一組のテーブル席が空いている。
目立たない角の席だから他の人を気にせずに済みそうだ。
ラッキーね!
そう思いながら私は椅子を引いて、その席に腰を下ろし、ルーナが来るのを待つ。