元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「こちら、モンブランとミルフィーユになります。ごゆっくりおくつろぎくださいませ」
「ありがとう」
店員にお礼を言うと、私は頬杖をつく。
ルーナまだかなぁ
すでに私の目の前には、先ほど店員ガラスケースから運んできたモンブランとミルフィーユが並んでいる。
お茶を準備すると言ってたけれど、少し時間がかかりすぎてない…?
何かあったのかな。
しっかり者のルーナのことだから心配はないと思うけど…。
そんなことを考えていると、
カタンッ
私の目の前の席に誰かが腰を下ろした。
「もう、ルーナ遅かったわね、私待ちくたびれ…」
ようやく彼女が来たのかと顔を上げた瞬間、
…え?
私の体は固まった。
だって、私の目の前に座っているのはルーナじゃなくて
「美しいレディ。こちら相席よろしいでしょうか?」
にこやかな笑みを浮かべた、ノエル・コックスだったから。