元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています


「わかった、客間に通してくれ」


「かしこまりました」


シャーロットの用事は、十中八九、先日出た新聞記事のことだろう。

偶然、エレノアの件について話していた所を写真に撮られたようだが、お互いに事実無根のいい迷惑だ。


アメリアに関しては、おそらくエレノアが行方不明である件でも誰かから聞いたのか。


「…まぁ、そちらから、出向いてくれたのであればありがたい話だな」


時間が惜しい。


だめだな…エレノアのこととなるとどうも頭に血が登ってしまう。


こうしている間にもエレノアに危険が迫っているかと考えるだけで、冷静ではいられなくなる自分に自嘲的な笑みが溢れた。


そんな焦る気持ちをぐっと堪え、僕は二人が待つ客間へと急いだのだった。


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