元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
――――…
「ノエル様、突然の訪問申し訳ありません。無礼を承知で伺いました。お時間とっていただき、感謝いたしますわ」
彼女たちが待つ客間の扉を開けた瞬間、
サッと立ち上がり、挨拶を述べたのはシャーロットだ。
隣に座っていたアメリアも立ち上がり、彼女に倣ってか小さくお辞儀をする。
その姿がなぜだか、少しだけ怯えているように見えるが気の所為だろうか。
「…いや、ちょうど私もアメリア嬢に用事があってね、男爵家へ向かおうと思ってたんだ」
二人に席にかけるように促し、自分自身も、彼女たちの前に用意された席に腰掛ける。
僕が席についたのを見届けた二人もゆっくりと腰をおろした。
「…それで、お二方のご要件を伺おうか?」