元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています

客間の扉の外に背筋を伸ばし、佇むのはビクター家の侍女であり、私とノエルとの手紙をリアム様に命じられて隠していた…侍女のアリスだ。


「…なんで、あなたがっ!」

ワナワナと、怒りに震えるシャーロット。


そんな彼女の、剣幕に怯みつつも、アリスはシャーロットを真っ直ぐに見つめ、話し出す。


「…リアム様がノエル様から来た手紙を隠すように命じられてしばらく経った頃でした。シャーロット様とリアム様がお話をされているのを聞いたんです。"手紙のこと早めに対処してよかったでしょう?"ってシャーロット様は話していました」


「……」


「あの時は深く考えていませんでしたが、最近、考えていたんです。リアム様に手紙を隠すよう唆したのはシャーロット様だったのではないかって…」



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