元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
私、ノエル、アリスの視線がシャーロットに集まった。
「…はぁ…そうよ、そこの侍女の言うとおり、私がエレノアお姉様を攫ったの。まぁ、お姉様に逃げられてる時点で言い訳のしようもなかったのだけれど…」
自嘲的な笑みを浮かべ、シャーロットはため息をこぼす。
そして、
「…ほら、早く犯人を捕まえたら?別にもう逃げも隠れもしないわよ」
ノエルに向かって挑発的にそう言い放った。
「……ジェームズ、彼女を連れて行け」
「かしこまりました」
ノエルの命により、コックス家の執事に連れられ、客間を後にするシャーロット。
彼女は、私と視線を合わせないように下を向いて歩いている。
私はすれ違いざま、そんな彼女に向かって、
「貴女のこと、本当の妹だと思ってるわ。
でも、今回貴女のしたことは許されるべきではありません。ちゃんと罪を償っていらっしゃい……待ってるから」
小さくそう呟いたのだった。