元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています


その時、下を向いていたシャーロットがどんな表情をしていたか私にはわからない。

けれど、遠ざかっていく彼女の肩が微かに震えているように見えた。

その後、

共犯のアメリア嬢も項垂れながら、他の執事に支えられ、部屋を後にする。

シャーロットに騙されたと言っていたが、どこまで本当なのか。

まぁ、調べれば自ずとわかるはずだ。


アメリアの姿も見えなくなった頃、私はくるりと踵を返し、今回の功労者であるアリスに声をかける。


「…アリス、ありがとう。あなたがいなかったら私もどうなっていたか…」


「お嬢様…とんでもないです!…そもそも、私は一度お嬢様を裏切っています。感謝なんてされる立場じゃ…」


ぶんぶんと、大きく首を振り、慌てた様子のアリスは申し訳無さそうに縮こまった。


「いや、アリス。僕からも礼を言わせてくれ。君がいなかったらエレノアをこんなに早く救えなかったと思う。本当にありがとう」


< 228 / 318 >

この作品をシェア

pagetop