元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています


「…そう。さすがノエル根回しが早いわね」

と、クスッと小さく笑みを溢した瞬間、


グイッ


ノエルに腕を引かれ、気づけば彼の腕の中にいた。


…し、沈まれ…私の心臓!


ドキドキと、高鳴る心臓の音がノエルに聞こえやしないかと冷や冷やする。


「…本当に君が無事でよかった。新聞記事が出た時、すぐにでも君に会いに行けばよかった…ちゃんと話しておけばよかったって…すごく後悔したんだ」


そう言って、ノエルも話してくれた。

彼の元に届いた脅迫文のこと、私に迷惑をかけないように距離を置いていたことも。


「今の話からすると、脅迫文もシャーロット嬢が出したんだろうね。僕を君から遠ざけるために…腕大丈夫?エレノアのことだから、なんだかんだ無理したんだろう?」


ゆっくり抱きしめていた身体を離し、ノエルは私の手首を見つめた。

そこには、無理に縄から抜け出そうとした時にできた跡が痛々しく残っている。


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