元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています

「これくらい平気よ。すぐに治るわ」


ノエルに心配をかけまいと、明るく振る舞う私。


実際、そこまで痛いわけでもないし。傷になってるわけでもないら、数日もすれば消えてしまうはずだ。


そんな私に対して、ノエルは小さく微笑むと、手首に残る痕にそっと、唇を落とす。


…!?


突然のノエルの行動に、私の身体はカチンと固まった。


な、なにを…。


そして、ノエルは続け様に私の耳元に近づくと、


「…嫌だったら抵抗して」


そう呟く。


彼の言葉の意図がわからず、目を丸くして驚く私。


すると、次の瞬間、
 

「……っん!」


ノエルは私の唇にゆっくり、自身の唇を重ねたのだった。


< 232 / 318 >

この作品をシェア

pagetop